リンパ球浸潤を伴う髄様癌の像を呈した食道低分化型扁平上皮癌の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Medullary Carcinoma with Lymphoid Infiltration of Esophagus, Report of a Case

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説明

食道ではきわめてまれな"リンパ球浸潤を伴う髄様癌"の像を呈した食道低分化型扁平上皮癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳の女性で食道造影で胸部中下部食道に長径5cmの鋸歯型の病変を認め,内視鏡検査では同部位に周堤隆起の大部分が粘膜により覆われ中心部に潰瘍を有する粘膜下腫瘤様の発育を呈したBorrmann 2型腫瘍が認められた.切除標本の肉眼的所見では,腫瘍の大部分はヨード染色で濃染する扁平上皮により覆われ,中央に潰瘍を有する4.7×3.2cm大の粘膜下腫瘍様の発育を呈した腫瘍であり,病理組織学的検査では腫瘍全体にリンパ球浸潤が著明な髄様癌の像を呈していた.その浸潤リンパ球はT cell主体であった.乳癌や胃癌のリンパ球浸潤を伴う髄様癌,Steinerのいう"Blue cell cancer"と同様の所見であり,本症例も予後の良いことが推測される.文献検索の結果,食道癌の"リンパ球浸潤を伴う髄様癌"として本邦初例と思われた.

収録刊行物

  • 日消外会誌

    日消外会誌 24 1033-1036, 1991

    一般社団法人日本消化器外科学会

被引用文献 (4)*注記

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