脊髄小脳変性症における失調症状の定量的評価法 : 臨床重症度との関連性について

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タイトル別名
  • The Quantitative Evaluation Method of the Ataxia in Spinocerebellar Degeneration : On the Relevance with the Clinical Seriousness

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説明

脊髄小脳変性症患者の失調症状を定量的に評価するための検査方法を検討し,各検査方法と重症度との関連性を統計学的に検証した。対象は臨床的に脊髄小脳変性症と診断された患者10例で,臨床重症度分類によりI度からIII度に分類した。従来の検査法として上肢の交互反復動作,書字分析,踵-膝試験,重心動揺検査,歩行速度,言語分析を実施した。また下肢失調症状の動的な評価方法として,床反力板を用いた歩行分析を行った。その結果,多くの検査項目で重症化とともに検査成績が不良となる傾向はみられたが,同一重症度症例であっても成績不良の程度にばらつきが多く,有意差を見出すことが困難であった。統計的に重症度と関連性が強く認められたのは交互反復動作の所要時間,および歩行分析における両脚支持期時間率であった。交互反復動作試験は臨床において上肢の失調症状を確認するために簡便に行うことのできる方法である。また,下肢の失調症状,ことに歩行状態を把握するために両脚支持期時間率は有用な手段と考えられ,臨床への応用が期待される。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 33 (2), 119-128, 2003-04-30

    北里大学

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