高速液体クロマトグラフィーによる尿中アセトンの分析
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- タイトル別名
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- Analysis of actone in urine by high-performance liquid chromatography.
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説明
アセトンは産業現場で広く使用されている有機溶剤である.生体内に吸収されたアセトンの一部は,代謝を受けずにそのまま尿中に排泄されることが知られている.アセトンの生物学的暴露指標として,尿中アセトン濃度の測定が広く行われている.尿中アセトンの測定法はこれまで吸光光度分析法,ガスクロマトグラフ分析法,ヘッドスペースガスクロマトグラフ分析法が報告されているが,これらの分析法には特異性に欠ける点,種々の技術的問題点や高価な機器を必要とするなど,必ずしもルーチン分析に適しているとは言い難い.そこで著者らは2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用いたアセトンの誇導体化,有機溶媒抽出,逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から成る尿中アセトンの分析法を検討した.標準液または尿0.5mlを共栓試験管にとり,0.25% DNPH溶液0.4mlを加えて5秒間攪拌した.5分経過後,n-ヘキサン3.0mlを加えてアセトン-DNPH誇導体を抽出した.n-ヘキサン層2.0mlをとり,濃縮乾固し,アセトニトリルに溶解しHPLCに注入した.HPLCの条件は次のとおりである.分析カラムにはTSK gel ODS80TM (4.6mm i.d.×150mm),移動相にはアセトニトリル-水(80:20,v/v)を用い,流速は1.0ml/minとした.DNPH誘導体の検出には365nmを用いた.本測定法は尿中に存在し,DNPHと反応するヒドロキシアセトンやアルデヒド及び他のケトン類(メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン)とも完全に分離できることが分かった.検量線は少なくとも2.70mmol/lまでは直線性を示し,検出下限は1μmol/lであった.アセトン-DNPH誘導体の安定性を検討した結果,4℃保存では少なくとも2日間は誘導体の濃度に変化は認められなかった.また,回収率,再現性とも良好な結果が得られた.したがって,プレラベル法を用いた本HPLC法は簡易,迅速で多量の検体を処理するルーチン分析に有用であると思われる.
収録刊行物
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- 産業医学
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産業医学 36 64-65, 1994
公益社団法人日本産業衛生学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1573105977111332608
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- NII論文ID
- 110006650749
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- NII書誌ID
- AN00098250
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- ISSN
- 00471879
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- CiNii Articles