培養物へのオリザリン処理による日本原産センノウ属植物の染色体倍加

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抄録

センノウ属(Lychnis spp. ;ナデシコ科)は約30種で構成され、そのうちの6種は日本に自生している。多くのセンノウ属植物は観賞的価値が高く、そのため鉢植え植物や庭植え植物として栽培されている。本研究では、園芸形質の拡大を目的として、日本原産の3種のセンノウ属植物、センジュガンピ(L. gracillima;2n=2x=24)、オグラセンノウ(L. kiusiana;2n=2x=24)およびフシグロセンノウ(L. miqueliana;2n=2x=24)について、培養物のオリザリン(ORY)処理による染色体倍加を試みた。これは、三倍体のセンノウ(L. senno)において最初に確立された方法である(Nonakaら、2011)。培養小植物体から調製した節切片を10mg L-1 ORYで24時間処理したところ、2ヵ月後にはいずれのセンノウ属植物においても70%以上の節切片が生存していた。また、ORY処理した節切片由来の小植物体についてフローサイトメトリー分析を行ったところ、センジュガンピ、オグラセンノウおよびフシグロセンノウの小植物体のそれぞれ15.7、15.1および7.8%が四倍体(4x)または倍数性キメラ(2x+4x)であった。染色体倍加は、根端細胞の染色体観察によっても確認された。以上の結果は、培養物へのORY処理が、広範囲のセンノウ属植物における染色体倍加に適用できることを示している。本研究で得られた四倍体小植物体は、二倍体小植物体と比較して、草姿が小型であった。

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