裸子植物におけるMADS-box遺伝子群の系統解析

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被子植物においては花器官形成に関わるMADS-box遺伝子群が知られている。本研究は裸子植物における雌雄の器官形成の進化を知ることを目的とし,MADS-box遺伝子の部分配列を決定し,系統解析を行った。対象植物は,裸子植物であるイチョウ,グネツム,マオウ,ソテツ,エゾマツ,ドイツトウヒ,イチイ,スギ,メタセコイア,およびシダ植物であるヒメワラビの計10種であった。実験手法は,裸子植物(イチョウ,グネツム,トウヒ,スギ)で既に知られているMADS-box遺伝子の保存領域からデジェネレートプライマーを設計し,10種の葉から抽出したDNAをテンプレートとして計91組のプライマー対でPCRを行った。増幅されたDNA断片はクローニング後選抜し,塩基配列を決定した。その結果,イチョウ,ソテツ,エゾマツの3種において,MADS-box遺伝子の部分配列86~87塩基長がそれぞれ2,3,4種類得られた。このうちイチョウから得た2種類の配列は,既に報告されている配列(GBM21,GBM30)と一致したが,それぞれ新たに延長する配列を決定した。またソテツ,エゾマツからそれぞれ得た2種類のMADS-box配列は,機能の知られる既存のMADS-box遺伝子のホモログであることが推測された。特に今回新たに決定したソテツのMADS-box配列は,花器官の進化を探る上で今後重要な情報になると考えられる。

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