甚大災害とカビによる健康被害

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抄録

東日本大震災において避難所避難者/在宅被災者を対象としたプライマリ・(ヘルス)ケア活動に従事していたところ,寝具のダニ/カビの問題が健康被害をもたらすことが予想され,寝具/避難所/被災住宅の清掃活動を行うボランティア組織「ダニ/カビバスターズ」が結成された。国立医薬品食品衛生研究所との共同研究により,災害住環境の悪化は多種の健康被害をもたらす真菌の増殖を認め,清掃活動を含む災害時住環境の改善が健康被害軽減に重要であることが示された。災害復興期に至り,仮設住宅の生物的学的住環境の追跡調査が行われたが,避難所/被災住宅より高度な生物学的住環境の汚染が観察される住宅も散見された。また,この汚染によりアレルギー性疾患を発症したとみられる症例が報告された。今後の甚大災害時における住環境悪化による健康被害対策のためには,本震災によって得られた学術データを含む知見の蓄積と国際的な発信/学術的交流が重要である。

収録刊行物

  • JSM mycotoxins

    JSM mycotoxins 65 (2), 103-107, 2015-07

    日本マイコトキシン学会

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