63. ヒストモナスによる肝臓の多発性巣状壊死

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本症は,鞭毛虫類に属するHistomonas meleagridis原虫(以下H. m原虫)の感染によっておこる疾病である。H. m原虫を含有した鶏盲腸虫の虫卵を直接またはシマミミズを介して鶏が摂取することで感染し,貧血,食欲減退,黄白色性下痢便,嗜眠などを呈し,死に至るが,鶏での死亡率は10%以下とされる。剖検により盲腸と肝臓に特有な病変がみられ,盲腸は壊死性腸炎を呈し,多量のチーズ状変成物が充満している。肝臓は腫大し,特徴的な菊花状や円形の壊死斑がみられる。今回,発生農場は,平飼い飼育で,敷料を搬出せずに再利用し,また,土に接触できる機会があったため,感染が広がったものと推察された。同時期に他の3農場でも発生があり,すべて平飼い飼育であったことから,敷料の適切な堆積発酵等の衛生管理が重要である。なお,Huberらの報告(Vet. Parasitol.131:311-316.2005)を参考に,H. m原虫のPCR法による遺伝子検査を実施したところ,高い検出率が確認されたので,病性鑑定の補助診断として有用と思われた。

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