大動脈縮窄症におけるSubclavian flap手術後の上肢発育と血流分布の経過

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タイトル別名
  • Blood Flow and Development of Upper Limbs after Subclavian Flap Repair of Coarctation of the Aorta

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説明

Subclavian flap手術後の7例について手術前後の上肢発育を左右上肢長,上腕囲の変化から判定した。同時にthermographyによる上肢皮膚表面温度差から左右上肢の血流分布とその左右差,上下肢の血圧差,身長,体重を測定し,Subclavian flap手術後の問題点の検討を行った。経過観察期間は平均20.1±11か月で,上下肢の血圧差は平均30±16mmHgが術後平均7±5mmHgに改善した。身長と体重はそれぞれ正常の97±5%と94±11%であった。上肢の左右差は,98±2%に対し,正常健康児を調査した対照群では101±1%であった(p<0.05)。上腕囲についても同様の結果で96±3%に対し,対照群は100±2%であった(p<0.05)。左右上肢の表面皮膚温度差は平均1.1±0.5℃であった。上肢長,上腕囲の左右差と経過観察期間との関係はそれぞれ負の相関をみた(p<0.01)。表面皮膚温度差との間には相関はなかった。臨床的には鎖骨下動脈採取による患側上肢の虚血の症状は見られなかった。Subclavian flap手術法の評価としては大動脈縮窄症の縮窄の解除方法として臨床的には有効な方法であると考えられたが,成長差,温度較差については今後も観察が必要になる。

収録刊行物

  • 北里医学

    北里医学 24 (6), 513-519, 1994-12-31

    北里大学

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