ヒキガエルの生態学的研究 : (VI)雌雄による成長と性成熟の差異

書誌事項

タイトル別名
  • Ecological Studies of Bufo bufo formosus BOULENGER : (VI) Differences of Postmetamorphic Growth Rate and the Sexual Maturity between Sexes in the Natural Population

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説明

1. 自然教育園において1973年5月〜1980年3月に得られた資料をもちいて, 雌雄による成長パターンと性成熟の差異について解析した。2. 本園の個体群は例年5月下旬〜6月上旬に幼生が変態する。この新生個体は, はじめ雄のほうが成長がはやく, 1才の夏ごろまでは雌よりも体が大きい。そして, 雄は1才の8月には翌春の繁殖期に出現する個体とほぼ同じ大きさにまで成長する。一方, 雌は1才の夏ごろから成長がはやくなり, その年の秋には雄よりも大きくなる。そして口幅は1才の10月から, 体重は2才の7月以後に雌雄で有意な差が生じる。体重の著しい増加は雄が2才の夏まで, 雌では3才の秋まで見られるが, その後はゆっくりとなる。3. 雄は1才の秋に, 雌はさらに1年遅れて2才の秋にその一部が性成熟し, それぞれ翌春の繁殖期に出現する。また最初の繁殖活動に出現するようになるのは雄が2〜3才, 雌が3〜4才で, 繁殖可能な年令に達してから2年以内に雌雄ともその75%の個体が繁殖に出現する。4. 繁殖個体群で見られる雌雄の大きさの差異は, おもに成長パターンのちがいによって, 性成熟年令に達したときには雌のほうが大きい個体が多いことによるものと考えられる。5. また, 繁殖個体群における性比の不均衡はおもに雌雄の繁殖出現頻度のちがいによって生じる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1573387451763914368
  • NII論文ID
    110004312633
  • NII書誌ID
    AN00103849
  • ISSN
    0385759X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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