「怒りを表す動詞(句)」の意味分析

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説明

本発表の目的は,怒りを表す動詞(句)「オコル・イカル・ハラガタツ・ハラヲタテル・アタマニクル・イキリタツ・イキドオル・フンガイスル・ゲキドスル・ギャクジョウスル・シャクニサワル・カンシャクヲオコス・ハラワタガニエクリカエル・ハラニスエカネル・カンニンブクロノオガキレル・ムカツク・キレル」について,感情表現に関わる諸問題-主にテンス・アスペクト-を整理しつつ,これらの動詞(句)の性質について類似点・相違点を的確に記述することである。この目的に向けて先行研究を概観した結果導き出された問題点は,(1)意味記述に関しては多くが類義表現での言い換えにとどまり,テンス・アスペクトなどを視野に入れた記述もほとんどなされていない点,(2)感情動詞の定義付けが研究者間で異なっており,よって動詞における感情動詞の位置づけも明確にされておらず,従って感情動詞の性質そのものが十分に明らかにされていない点,である。以上の問題点を踏まえて,感情表現に関わる問題として主にテイル形と基本形について考察し,分析対象語(句)の分類にテイル形が持つ「報告性」の概念(柳沢(1994))が有用であり,さらに発話時点の感情を表す際,基本形を用いることができるか,またはテイル形のみかによって,「表出」・「準表出」・「観察記述」的な性質を持つ語(句)に分類が可能であることを中道・有賀(1993)を参考に確認した。このうち「表出」・「準表出」的な性質を持つ動詞(句)は品詞の上では感情形容詞と連続性があり,動詞の性質上は状態動詞と連続性があることが確認された。以上の考察を踏まえて分類指標を設定し,分析対象語(句)の分類を行い,共通点をもつ語(句)群を3つにグループ化しさらに下位分類を行った。そして各グループは何らかの関連性を持ちながら連続的につながっていることを確認した。

収録刊行物

  • 國語學

    國語學 51 (2), 161-162, 2000-09-30

    日本語学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1573387451890087680
  • NII論文ID
    110002533634
  • NII書誌ID
    AN00087800
  • ISSN
    04913337
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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