脊椎奇形と尿路・性器奇形 : 特に交叉性腎変位と非対称性融合腎について

書誌事項

タイトル別名
  • EVALUATION OF UROGENITAL ANOMALIES IN VERTEBRAL ANOMALIES WITH SPECIAL REFERENCE TO CROSSED RENAL ECTOPIA AND ASYMMETRIC FUSED KIDNEY

この論文をさがす

説明

2分脊椎・Klippel-Feil症候群・先天性側弯症および仙骨形成不全など136例の脊椎奇形について,尿路性器奇形の合併を検討した.23%の合併が見られたがKlippel-Feil症候群と仙骨形成不全が最も高頻度であった.合併奇形の主なものは変位腎and/or融合腎(11例),停留睾丸(9例),重複腎盂尿管(6例),1側腎無発生(3例)などであった.尿路性器以外では直腸肛門奇形(14例),心循環器奇形(5例)が目立った.両奇形の合併頻度および発生機序について考察するとともに,特に交叉性腎変位本邦155例について集計し若干の統計的考察も加えた.交叉性腎変位の原因は未だ不明だが,尿管奇形・脊椎奇形を合併していることが最も多い.一般には尿管芽の発育異常説が有力であるが,胎児尾側の屈曲・回転をもたらしうる脊椎奇形も何らかの関与をしている可能性が推測される.仙骨形成不全で高頻度かつ多彩な尿路性器奇形を認めることは,尿管芽分岐開始の時期と仙骨を含む原椎形成の時期が一致すること(胎生4〜5週頃)に加え,さらに両者がその時期に非常に近接して位置していることから充分理解しうる.脊椎・尿路性器奇形の合併が従来の報告(剖検例)よりずっと高頻度に認められることは注目すべきことであり,時には生命をおびやかす合併症も見られることから脊椎奇形患者でのIVPなどの精査が必須と考えられた.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ