輪作についての基礎試験

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説明

(1)本試験は輪作の基礎理論究明の第一歩として主要作物についての,前作物と後作物との関係及び連作障害について明かにしようとしたものであるが,農業研究機関の整備統合のため中断の止むなきに至ったため,本試験中,夏作物に関する試験結果の一部を取纏めたものである。(2)試験区の構成としては,前後作試験区と連作試験区とに分け,それぞれについてNPK・SM区,NPK区,NK区,PKの4つの肥料條件を設け,且つ前後作試験区に於ては耕地処理様式として普通耕起の場合と不耕起の場合とを併置した。(3)供試作物としては大豆(赤莢),燕麦(オンワード),玉蜀黍(ロングフエロー),粟(赤糯),さん(青森在来種),馬鈴薯(男爵薯)を用いた。(4)各作物とも無燐酸の場合(NK区),他の肥料條件区に比して著しい減収率を示した。(5)肥料條件による影響の最も少いものは大豆,これについでさん,粟,燕麦であり,馬鈴薯が最も大なる収量変異を示した。(6)耕地処理様式の相違による影響としては,余り明瞭な傾向は認められなかった。(7)馬鈴薯,玉蜀黍,大豆の3作物跡地を比較した場合,後作物は何れも馬鈴薯跡が最もよく,大豆跡が最も劣っていた。このことは馬鈴薯,玉蜀黍の残効が意外に大きく,これに反して大豆跡地の肥沃度について徒らに過信することの危険さを示唆していた。(8)後作物に対して充分なる肥料が投ぜられている場合には,比較的前作物の影響は軽減されている。(9)さんは馬鈴薯跡が明かに良好であったのに反して粟は玉蜀黍跡の方がむしろ良好な結果を示していたが原因は不明である。(10)連作年次が進むに従って,それぞれの作物の肥料條件の差異による影響の度合が順次拡大されるが,連作4年目になると作物間の差異は殆ど認められず,いずれも極めて大きな収量変異を示し,肥料欠陥区の減収率がますます大きくなっている。(11)馬鈴薯は肥料條件が充分であれば,殆ど連作の影響は認められない。燕麦も連作の影響は比較的少いがさん,粟は連作による減収率が大であった。大豆は連作2年目までは大した減収率を示さなかったが,連作3年目から急激な減収を示した。

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