『空華日用工夫略集』にみる14世紀後半の禅宗庭園観に関する研究

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タイトル別名
  • Study on the Zen garden view in the late 14th century with reference to "Kuuge-Nichiyou-Kufuu-Ryakushu"

抄録

南北朝時代の臨済宗の禅僧である義堂周信(1325-1388)は、夢窓疎石(1275-1351)の弟子であった。義堂には、1325年から1388年の63年間にわたる日記『空華日用工夫略集』が残されている。本研究は、この『空華日用工夫略集』の記事を調査対象にして、14世紀後半の禅宗庭園が実際にどのように使用されていたかについて研究を行った。文献調査の結果から禅宗庭園には、主に3つの用途がみられた。主な用途は、第1に座禅修行としての場、第2に詩を作る場、第3に春の花や秋の紅葉、冬の雪景色などの花見や眺望景観を楽しむ場であった。この3つの用途は、時には単独で、また時には混在して使用されおり、実施には重層的な使用がなされていた。そして、研究から庭園景観や眺望に関しての意識は、禅の教えや修行だけではなく、文学の詩的情緒をもって認識されていたことが確認できた。そして、その詩的認識における知識基盤には、禅の仏教思想だけではなく、中国の文学と思想にも影響されていたとする知見を得ることができた。

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