膀胱腫瘍の予後の検討-10年相対生存率について-
書誌事項
- タイトル別名
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- TEN YEARS SURVIVAL RATE OF PATIENTS WITH BLADDER TUMORS
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説明
膀胱腫瘍329例を対象にして,組織学的異型度と深達度による10年相対生存率(実測生存率)を基にしてその予後を検討した.1)対象症例にはlow grade-high stage症例が少なく,特に移行上皮癌の異型度1にはT2以上の深達度を示す症例はなかった.2)異型度はlow gradeとhigh gradeの間に予後の差が明瞭であったが,移行上皮癌異型度1と2のあいだ,異型度3と移行上皮癌以外の腫瘍の間には差は認められなかった.3)深遠度は異型度にくらべて予後をよく反映していて,深達度が進むにつれて生存率が低下している.4)表在性腫瘍(Tis, Ta, T1)の相対生存率(実測生存率)は5年100%(87%),10年100%(69.8%)であった.相対生存率は100%でも表在性腫瘍には5年以降に癌死する症例があり5年以上の追跡が必要である.5)浸潤性腫瘍(T2,T3)の相対生存率(実測生存率)は5年47.4%(40%),10年45.5%(32%)であるが6年以降実測生存率は変化がない.浸潤性腫瘍では癌死症例の90%が5年以内に死亡しており,浸潤性腫瘍では5年と10年の生存率に差がなく予後についての検討には5年生存率を用いれば良いと思われる.6)進行癌(T4)の予後は著しく不良で4年以内に全例死亡した.
収録刊行物
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- 日泌尿会誌
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日泌尿会誌 78 1038-1044, 1987
社団法人日本泌尿器科学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1573668927026525440
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- NII論文ID
- 110006790053
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- NII書誌ID
- AN00196577
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- ISSN
- 00215287
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles