生体腎移植104例の検討 : 移植腎生着率の向上について

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  • THE CLINICAL STUDY ON LIVING RELATED KIDNEY TRANSPLANTATIO : IMPROVEMENT OF GRAFT SURVIVAL

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1973年9月から1984年10月までに社会保険中京病院にて施行した103例104回の生体腎移植の免疫抑制法をはじめとする管理方法及び成績について報告した.患者の年齢は,6歳から59歳,平均27.4歳であり,男性78例,女性26例であった.donorは両親86例,兄弟17例,非血縁1例であり,組織適合度は血縁例でHLA two haploidentical 5例,HLA one haploidentical 98例で,非血縁例はHLA A,B 2抗原,DR 1抗原適合であった.なお,87例に移植前輸血歴がみられた.免疫抑制法は原則としてsteroidとazathioprineで行った.1975年までの20例は,移植直後にazathioprineにかわってcyclophosphamideを用いた.1975年以後の42例は,steroid,azathiorpineに加えて移植直後にALGを用い,拒絶反応に対する治療を一定の制限を設けて行った.1980年7月以降の42例のうち33例は移植前治療として胸管ドレナージによるリンパ球除去を行い,また9例ではcyclosporineとsteroidによる免疫抑制を行った.全症例の患者生存率,移植腎生着率は,1年で91.7%,80.5%,3年で85.0%,67.9%,5年で78.1%,56.2%,10年で71.8%,50.6%であった.また最も新しい方法で行った最近の42例の患者生存率,移植腎生着率は,1年で100%,100%,3年で100%,82.6%であり,初期に比べ患者生存率,移植腎生着率とも飛躍的に向上した.本論文では,これらの成績向上の歴史的な変遷を,私共が対処してきた方法を提示しながら述べた.

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