ラシード・ウッディーンの仏陀に関する記述について

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  • RASHID AL-DIN'S DESCRIPTION OF THE LIFE AND TEACHINGS OF BUDDHA

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抄録

イール・ハーン朝下のイラン(13世紀中葉からの約1世紀)には、注目に値する特徴がいくつかある。そのひとつは、様々な宗教や哲学の紹介・布教活動に対する寛容性である。ラシード・ウッディーン(1249頃-1318)の『集史』も、まさにこのような時代の落とし子である。この著名な歴史書には、カシミールの仏教僧の言を借りて、仏陀の生涯と教えについて記述した部分がある。記述は簡潔なものとはいえ、ムスリムの手になる書物では初めて、仏陀についての比較的正確な情報が盛り込まれている点が、非常に重要である。中でも興味深いのは、釈尊の世界観、また入滅に際しての奇跡、彼以後に現れる預言者などについて、他には見られない記述があることである。約40年前、チェコの東洋学者カール・ヤーンが初めてこの『集史』の記述について言及したが、本稿ではこれについてより詳細に紹介する。(藤元優子訳)

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