児童虐待と保育園の支援の課題

書誌事項

タイトル別名
  • Issues of child abuse and nursery school support

抄録

札幌市内にある認可保育園等を対象に通園する家庭の児童虐待の実状を調査した。その結果,回答園の19.8%(21園)に児童虐待もしくは疑われる家庭が通園していた。家族構成はひとり親が55.2%と半数を超えていた。子どもの行動特性は,年齢によって異なることが分かった。虐待の高リスク要因である貧困との関係では,一人親・生活保護・母親の療養の割合が高かった。保育園は日々,こどもと密接に関わるところであり,子どもの居場所ともいえる。保育園が児童虐待防止に果たす役割は大きい。児童虐待で大事なことは言うまでなく子どもの命と発達の保障であるが,一方で虐待する親への「支え」である。本調査で,保育園は日々,親の「支え」を行っていることが分かった。しかし,虐待家庭は様々な困難さを有していて,保育園の「支援」を制約している。特に親への「支援」では,深い人間理解と共感を内包する「臨床教育学」的アプローチの視点の重要性が理解された。

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