人工ニューラルネットワークモデルを利用した排水機場遊水池の水位予測に関する研究

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抄録

近年の温暖化の影響や農作物の作付け変更への対応,また,排水施設の運転コストを抑制するために,効率的・柔軟的な排水施設の運用が必要である。とくに洪水時において,モニタリング地点の水位や流れをリアルタイムで予測できれば,排水システムの最適な運用が実現できる。本研究の目的は,人工ニューラルネットワーク(ANN)モデルを利用して,豪雨時の排水機場遊水池へ流れ込む流量とその水位をリアルタイムで予測可能なシステムを構築することである。このシステムは,179haの面積を有し,排水機場,水位調整を行う遊水池を持つ水田地域に適用された。ANNモデルへの入力は,降雨量・水位・ポンプ排水量である。不十分な学習データを補うために,気象庁アメダスからの降雨データを基にして,2年と10年確率降雨イベントを含む人工降雨データを生成し,水位・流量データは,この降雨データを入力値として計算された排水解析モデルの出力結果を利用した。ANNモデルの出力は水位・流量である。10回の交差検証法を用いてANNモデルの水位予測の検証を行い,30分と2時間後の水位予測は10%以内のエラーが得られた。また,10年確率降雨イベントについて,その学習の有無の比較では,2時間後の最大水位の予測は約10%の差異が見られた。

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