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  • Functional Morphology of the Choroid Plexuses, with Special Reference to Various Photoperiods in Chicks.

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若鶏30羽を用いて,3種類の光周期(LL,DD,LD,12:12)における脳室脈絡叢の構造と機能との関連性について電子顕微鏡レベルで比較検討し,その結果は次の通りであった。1 若鶏の側脳室と第三脳室の脈絡叢を比較したところ,両者の間には著しい組織学的差違は認められなかった。脈絡叢上皮細胞は立方~円柱状で自由画に微絨毛や織毛が存在し,構造的に吸収上皮の性格を有している。これらの上皮細胞はよく発達したミトコンドリア,粗面および滑面小胞体,ゴルジ装置を有し,核は多くの場合単核で,時に二核の場合もある。また,若鶏の脈絡叢上皮細胞の側面形質膜は平滑であり,ラットや豚において観察された指状嵌合のような複雑な膜構造を呈していなかった。2 脈絡叢の上皮槽内に,通常の上皮細胞と異なる細胞を観察した。大型明調細胞(Large pale cell)と多極暗調細胞(Multipolar dark cell)の2種類である。大型明調細胞は基質の電子密度が極めて低く,卵球状を呈し,他の上皮細胞より大きい。この細胞は光学顕微鏡レベルで先に報告したもの(大島と松尾1977)と同一細胞である。多極暗調細胞は,核,基質ともに幾分電子密度が高く,いくつかの突起を具えた不規則な形態で,細胞の表面は脳室に接していない。3 脈絡叢間質の毛細血管の内皮細胞は有窓構造を呈する。これは上記1の上皮細胞の構造と合わせて,脈絡叢が脳脊髄液の分泌に重要な関与を行っていることを示すものである。4 脈絡叢上皮細胞は連続暗黒のものでは連続照明のものより大きなミトコンドリアやゴルジ空胞,内腔の拡張した粗面小胞体を有していた。これらの構造から,連続暗黒の脈絡叢上皮細胞は,連続照明のものより機能が旺盛であるように推測した。一方,LD12:12の明期と暗期との間では,著しい差違を認めることができなかった。

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