異種動物通過による家鶏肉腫病毒の変化

書誌事項

タイトル別名
  • MODIFICATION OF CHICKEN SARCOMA AGENT BY HETEROLOGOUS ANIMAL PASSAGES

説明

著者等は腫瘍病毒を異種動物脳を通過させて分離する方法を広汎に行い「一般に発癌性因子は異種動物を通過させて分離固定するときはその発癌性を失うが, 特殊抗原性はよく保有するものである」ことを提唱した。その最も重要な論拠をなしたのがこの実験である。すなわち千葉系家鶏肉腫ヴィールスを海〓, マウスあるいはハムスター, に異代移植すると宿主動物に肉芽性炎症を起す滬過性病毒が常に得られる。この病毒は交叉中和実験によってラウス・ヴィルスと同種のものであり, ニューキャッスル病, リンパ細胞性脈絡脳炎, 吉田腫瘍病毒 (HST. V.) 及び, 牛痘ヴィルスとは関係のないことを証明した。<br>この病毒は成鶏に接種しても腫瘍を生じないが, 内臓に肉芽性炎症を起し, 家鶏肉腫に対して強い免疫が現れる。これに反しこの病毒を雛に異代接種したのち, 雛の肝片を成鶏に移植するときは可移植性の線維粘液腫を得た。これ等の成績から判断すると, 家鶏肉腫ヴィルスを異種動物通過によって分離するとき発癌性を失うことは家鶏体細胞に由来する第2因子を失うためと考えられる。従ってこれを雛に継代すると再び腫瘍形成能が得られるのであろう。

収録刊行物

  • 癌 48 (3), 227-238_3, 1957

    The Japanese Cancer Association

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ