ニラの葉先枯れ症状に及ぼす無機成分の影響(2)
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説明
ニラの水耕栽培において,P,K,Ca,Mg,Mn,Fe,Zn,S,Bの無機成分の欠如が,葉における障害発生の有無や発生の推移・症状および葉中の成分含量に及ぼす影響ついて検討した。1.P欠如処理では,葉長が短く葉幅が狭くなるとともに,外葉(下位葉)から順に葉先が黄化・褐変し,症状が進むと枯死した。これらの症状がみられた時の葉中P含量は,0.13~0.16%であった。また,生育量は著しく低下した。2.K欠如処理では,外葉(下位葉)から順に葉先が黄化・褐変し,症状が進むと枯死した。これらの症状がみられた時の葉中K含量は,0.29~0.54%であった。また,生育量は著しく低下した。3.Ca欠如処理では,中位葉の葉先が褐変し,新葉(上位葉)の葉先も黄化・褐変した。症状が進むと新葉は枯死した。これらの症状がみられた時の葉中Ca含量は,0.15~0.21%であった。また,生育量はP,Kよりも緩やかに低下した。4.Mg欠如処理では,外葉(下位葉)の葉先から葉縁部が黄化・褐変し,アントシアン色素の発生も認められ,症状が進むと枯死した。これらの症状がみられた時の葉中Mg含量は,0.04~0.06%であった。また,生育量は著しく低下した。5.Mn欠如処理では,葉中Mn含量は5ppm(対照の1/17)まで低下したが,特徴的な外観症状は認められなかった。また,生育量も低下しなかった。6.Fe欠如処理では,速やかに外観症状が現れ,新葉から顕著に黄化し,症状が進むと株全体が黄白化した。これらの症状がみられた時の葉中Fe含量は,4~22ppmであった。また,生育量は著しく低下した。7.Zn欠如処理では,葉中Zn含量は11ppm(対照の1/2)まで低下したが,特徴的な外観症状は認められなかった。また,生育量の低下は認められなかった。8。S欠如処理では,外葉(下位葉)の葉先から葉縁が黄化・褐変し,一部でアントシアン色素が発生するとともに,新葉では淡色化が認められた。また,生育量は,P,Kよりも緩やかに低下した。9。B欠如処理では,葉中B含量は5ppm(対照の1/10)まで低下したが,地上部には特徴的な外観症状は認められなかった。しかし,生育は徐々に抑制され,葉幅は狭く,草丈が低くなるとともに根の褐変,側根の伸長停止が観察された。以上,本試験の要素欠如処理では,P,K,Ca,Mg,Fe,Sで特徴的な外観症状が明らかとなり,これらの中でP,K,Ca,Mg,Sの5要素が葉先枯れ症状の原因となり得ると考えられた。
収録刊行物
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- 高知県農業技術センター研究報告 = Bulletin of the Kochi Agricultural Research Center
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高知県農業技術センター研究報告 = Bulletin of the Kochi Agricultural Research Center (22), 33-47, 2013-03
高知県農業技術センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1573950403002272512
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- NII論文ID
- 220000138533
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- NII書誌ID
- AN10406825
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- ISSN
- 09177701
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- CiNii Articles