養液栽培法と自然栽培法ワサビの生育の比較

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抄録

ワサビ(Wasabia japonica)は、アブラナ科ワサビ属に属する日本料理に欠かせない植物である。多年生植物であり、1年を通して葉を落としながら新しい葉に生え変わることを繰り返すため、通年出荷が可能な作物である。基本的に重量が重く大きいものほど単価は高くなる傾向があり、その他辛味や風味が良いもの、くびれがないものや色合いが良い物ほど品質が良いとされている。品質が悪いものは加工食品に利用され、1あたりの重さが100gを上回るようなものは高級料亭用に取引される。ワサビは栽培方法によって沢ワサビと畑ワサビに分類されるが、いずれも生育時に窒素やカリウム、石灰などを多く吸収する。よってそれらを豊富に含む流水が利用できる地域では一般的に沢ワサビとして栽培され、水量が少ない地域ではそのまま耕土に植える畑ワサビが栽培される。沢ワサビの方が形、色合いや辛味などが畑ワサビを上回るため、市場価値は沢ワサビのほうが高い。沢ワサビは主に長野や静岡など山間部の多い地域74橋本敏一・松野裕・八丁信正・河内香織で栽培されている。沢ワサビの栽培に必要な水は豊富な養分に加え、水温が8~19℃の間であり、12~13℃の問が最適とされている。もし水温が8~19℃の範囲を外れると生育停止がおこる。また水温が高くなると墨入病や軟腐病などの病害が発生するので栽培の際には水温に注意する必要がある。ワサビは半陰性の植物で直射日光に弱く、環境によっては栽培時に遮光するなどの工夫が必要となる。植えつけの時期は生育停止するような夏期や冬期を避け、春植え(3~5月)もしくは秋植え(9~10月)が一般的で、秋植えの方が生育がよいとされる。

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