オリオン機械(株)における知的財産戦略

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抄録

オリオン機械株式会社は,独自のブランドで酪農機器と産業機器を製造販売するメーカである。創業してから約10年後,酪農家の要望により乳牛の搾乳機を独自開発することにより下請けから脱却した。その後,事業の柱を追加するため,酪農機器で培った技術を応用して,産業機器の分野に進出している。現在では,産業機器の売上げは全体の8割を占めている。当社では,マーケットのトップシェアを確保するため,世界ナンバーワン製品の開発を目指している。そのためには,サービス面でもナンバーワンになることが必要で,開発とサービスを事業の両輪に据えている。酪農機器は365日対応の製品であり,これに応えるためのサービス体制が事業成功の鍵となる。そこで,北海道だけでもサービス拠点を20か所設置して,充実したサービスネットワークを構築した。この拠点を利用して,産業機器も365日のサービス精神で,普及に役立てている。また,海外市場を開拓するため,中国を中心に現地のメーカとジョイント・ベンチャーを組んで製造拠点を設けており,マーケットがあるところで生産して販売する地産地消の考え方により展開している。以上,当社の知的財産戦略と活動について述べた。知的財産の戦略は企業経営の中の一つの戦略であり,独立したものではないと述べた点は,社内外で十分に理解を得られているものでは無く,更なる検討と活動が必要と考える。そして,発明(イノベーション)を基にした企業発展に努めたい。第2項で述べたように,当社は酪農機器並びにそれによって培った技術で継続している企業である。農業及び農業機器は人類の根幹を担う重要な産業であり,当社においてもその発展に寄与するよう新製品開発に日々取り組んでいる。知的財産がその一翼を担えるよう更なる工夫を積み重ね,活動を推進したい。

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