アメリカにおける豚腸管コロナウイルス

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豚流行性下痢(PED)ウイルスはコロナウイルス科、アルファコロナウイルス属に属し、エンベロープをもつ、プラス1本鎖RNAウイルスである(アメリカ農務省、2014年)。PEDウイルスは、最初にヨーロッパで肉用子豚および肥育豚で確認され、1978年にPEDの主な原因病原体ということから名づけられた。PEDはアジアでは1991年から常在的に発生している一方、本病の流行的発生はヨーロッパ諸国や、日本、中国、韓国、タイを含めたアジアで報告されている。2010年後半以来、中国の養豚地帯の複数の省において顕著なPEDウイルス流行の増加が報告され、新たなウイルス株の出現により甚大な経済的損失をもたらした。PEDウイルスは2013年3月17日にアメリカではじめて確認され、その後半年でアメリカ国内に急速に広がった。2014年6月までに30州で延べ29,970件の発生が認められた。カナダでは2014年2月に確認された。現在のところ、アメリカの豚における臨床的な下痢症例からは少なくとも3系統の腸管コロナウイルスが検出されている。これらの腸管コロナウイルスは、PEDウイルス1またはオリジナルPEDウイルス、PEDウイルスバリアントまたはINDEL(欠失と挿入がある株)、そして豚デルタコロナウイルス(PDCoV)に分類される。遺伝子解析により、オリジナルのPEDウイルス株は2012年後半にジーンバンクに登録された中国株と99.5%の相同性があり、豚デルタコロナウイルスは2012年に香港で確認された株と近縁であることがわかっている。

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