飲酒が陳旧性心筋梗塞患者の心血管事故発生におよぼす影響

  • 益永 信隆
    近畿大学医学部内科学教室(循環器内科部門)
  • 木村 彰男
    近畿大学医学部内科学教室(循環器内科部門)
  • 宮高 昌
    近畿大学医学部内科学教室(循環器内科部門)
  • 石川 欽司
    近畿大学医学部内科学教室(循環器内科部門)

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飲酒が心血管事故発生におよぼす影響は種々報告されている.少量飲酒者は,非飲酒者,多量飲酒者と比較して,心血管事故の危険性が低いことが示されている.しかし,既に心筋梗塞に罹患した症例でもこのことが適用されるか論議の一致をみていない.我々は,1986年から1999年までに当科で加療した男性陳旧性心筋梗塞患者延べ5323例中,飲酒について調査できた3845例を非飲酒群,少量群,多量群に分け,心血管事故発生頻度を比較検討した.心血管事故発生率は,非飲酒群で4.1%,少量群では2.6%,多量群は4.8%で,少量群は他の2群に比べ有意に減少していた(p<0.05).年齢別に分けると65才未満では非飲酒群で3.9%,少量群では1.9%,多量群は3.2%で,少量群が非飲酒群と比べ有意に低値を示した(p<0.01).65才以上では非飲酒群で4.5%,少量群では5.6%,多量群は19.7%で,多量群は他の2群と比べ有意に高値を示した(p<0.01).多変量解析では,65才未満では少量飲酒(Hazard比0.56:95%信頼区間(以下,CI)0.32-0.97;p<0.05)が心血管事故を減少させる独立した予後規定因子,65才以上では多量飲酒(Hazard比5.75:95%C12.21-14.9;p<0.01)がこれを増加させる独立した予後規定因子であることが証明された.陳旧性心筋梗塞患者における飲酒は,再梗塞,突然死への関与が大きいと考えられ,特に65才以上の高齢者では禁酒を勧める必要性があると考えられた.

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