接続助詞ド・ドモの機能

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逆接の確定条件を表すと言われる接続助詞ドとドモは,モの有無という形態上の差があるにも関わらず,同じ意味・機能をもつものとして扱われることが多い。文体差(ドは和文,ドモは訓読文で使用)や位相差(ドは女性,ドモは男性が使用)の指摘はあるが,それらで説明できない例も多く,再考の余地があると思われる。本発表では,ドとドモの使用数が拮抗している平安初期の『竹取物語』と『土佐日記』を中心に,成立年代が近いと目される『伊勢物語』,『大和物語』を含めた四作品(これらは筆者が男性だと考えられる和文や,男性の可能性がある和文である)から考察を行い,ドとドモに次のような現象面での差異が見られることを述べた。・ドの前件と後件は,一回的な事態同士や複数的な事態同士,持続的な事態同士である。・ドモの前件は,複数的な事態や持続的な事態,質的に甚だしい事態である。一方後件は,一回的な事態や均一で多様ではない事態である。そして,ドとドモに次のような機能面での差異を指摘し,その理由を述べた。・ドは対等の資格にある事態の対立を示す。このようなドによる対立のあり方を,本発表では「均衡対立」と名付けた。・ドモは質や量の面で差がある二つの事態の対立を示す。このようなドモによる対立のあり方を,本発表では「不均衡対立」と名付けた。・以上のようなドとドモの違いは,ドモのモが類例の提示や列挙といった働きを担うために生じていると考えられる。共時的な条件表現の体系性や,通時的な逆接表現の変遷を考えていく上で,このようなドとドモの対立のあり方の指摘は,重要な意味を持つと思われる。

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  • CRID
    1574231876820228608
  • NII Article ID
    110002533695
  • NII Book ID
    AN00087800
  • ISSN
    04913337
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • CiNii Articles

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