塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)に対する中和モノクローナル抗体による腫瘍増殖抑制

  • 吉竹 佳の
    金沢医科大学ゲノム医科学(生化学)
  • 魏 育林
    (現)中日友好医院臨床医学研究所中央実験室
  • 孫 愛静
    (現)福井大学医学部病因病態医学講座腫瘍病理学

書誌事項

タイトル別名
  • Inhibition of Tumor Growth by Anti-bFGF Neutralizing Antibody

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説明

「目的」Basic Fibroblast Growth Factor(bFGF)は多くの細胞の増殖を促進し,in vivoでは血管新生を誘起する。固形腫瘍にあってはbFGFがオートクリン作用またパラクリン作用でその増殖に関与している。bFGFの中和モノクローナル抗体であるbFM-1はbFGFによる培養血管内皮細胞の増殖と血管新生を抑制する。そこで,ヌードマウスの背部皮下に移植した培養腫瘍細胞による固形腫瘍の増殖に対するbFM-1投与の効果を検討した。「方法」モノクローナル抗体は2日置きにヌードマウス腹腔に注射し血漿中の抗体量をELISAで測定した。腫瘍組織のbFGF,VEGFの発現をRT-PCRで測定し比較した。「結果」腫瘍が増殖中の血漿bFM-1を500-700μg/mlに保った場合,A431,HeLa腫瘍組織の増殖はコントロール抗体投与と比べて42.7-63.3%に抑制された。P3U1腫瘍組織の増殖は抑制されなかった。RPMI4788(ヒト大腸がん由来)腫瘍組織については血中抗体濃度が低い場合でも4.6-13.6%に抑制されたがいずれも抑制効果は部分的であった。bFM-1の抑制効果はbFGF発現が高い組織で高い傾向にあった。bFM-1の抑制効果が部分的である説明としてVEGFの発現による血管新生の寄与が考えられるが,VEGFの発現量が高いからbFM-1の抑制効果が弱くなるということはなかった。「結論」bFM-1による腫瘍増殖抑制効果は血中のbFM-1濃度の高低ではなく,腫瘍の特徴-分泌されるbFGFとVEGFの量の比,腫瘍細胞の増殖速度-によりbFM-1の腫瘍増殖抑制効果が異なると考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1574231877031527040
  • NII論文ID
    110006198480
  • NII書誌ID
    AN00043827
  • ISSN
    03855759
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • CiNii Articles

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