教職課程におけるリスクコミュニケーション演習の効果とリスクへの態度の変容

書誌事項

タイトル別名
  • Attitude change to risk and effect of virtual risk communication group work in a university lecture of teacher training course

この論文をさがす

抄録

自然体験活動のリスクについてのリスクコミュニケーション課題を、教員養成系大学の特別活動論の講義を受講する2クラス(いずれも約100人)で実施した。実験クラス(群)では知識活用型ジグソー法を援用し、教員、生徒、保護者の3つの役割によるロールプレイで相互の情報共有や意見交換を図りつつ、過去に事故があった学校行事についての意思決定を課題とした。対照クラス(群)では、「遠足のしおり」を作り、保護者に遠足のリスクや意義を説明するという想定で、グループワークを実施した。その前後にリスクやリスク情報の共有に関する9項目の質問紙と、事後には授業の感想を自由記述で求めた。その結果、共通性の低い1項目を除く8項目から、概ね3つの因子である「リスク忌避」「情報の共有」「挑戦的意義」が抽出された。事前事後の比較の結果、前後での単純な態度の変容は見られなかったが、ロールプレイでの役割に応じたリスク忌避に対する変化が見られた。また、性×群の交互作用や性×役割の交互作用が広く見られた。自由記述の単語頻度分析やテキストマイニングの結果から、実験群ではリスクを保護者に伝え納得してもらえるかどうかに焦点が当たり、その難しさが懸念されたのに対して、しおり作成群では、意義や目的を伝え、理解してもらう点に焦点が当たっていることが推測された。いずれのグループでも、リスクを伝え、保護者の不安を払拭することの必要性や、それによって保護者の協力も得られ、実質的にリスクを低減する効果も期待できることへの気づきが見られた。静岡大学大学院教育学研究科

収録刊行物

  • 教科開発学論集

    教科開発学論集 (8), 1-6, 2020-03-31

    愛知教育大学大学院・静岡大学大学院教育学研究科共同教科開発学専攻(後期3年博士課程)

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ