三位一体的定式に関する一考察

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  • A Consideration of the Trinity Formula

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抄録

『資本論』のサブタイトルは、「経済学批判」である。その意味は、マルクス以前の経済学が資本主義経済の持つ歴史的な性格を把握できず、一般の人々と同様に資本主義を永遠に続く経済システムとして理解したことにある。マルクスは、資本主義経済の当事者たちの抱く観念が、資本主義の経済システム自体から生じることを指摘した。この問題の解明に当たる論理の一つが三位一体的定式に関する考察である。三位一体的定式とは、資本-利潤、労働―賃金、土地-地代、という定式で、生産要素が収入を生むという観念である。マルクスによれば、労働者の労働が賃金部分とこれを超える剰余価値を形成する。利潤と地代は剰余価値が分配されたものである。しかし、三位一体的定式によって、剰余価値が消え去り資本主義の階級性が隠蔽される。本稿は、こうしたマルクスの三位一体的定式を考察したものである。

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