78. 烏骨鶏のCandida属真菌によるそ嚢炎

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抄録

鶏のそ嚢炎の多くは,Candida属真菌が原因となる。Candida属真菌は鶏の口腔内に常在し,C. albicansは菌交代現象,免疫抑制および宿主の衰弱によりカンジダ症を引き起こす。鶏のカンジダ症は,老齢鶏に比べ若齢鶏に発生がみられるが,多くは散発的である。鶏での本症の発生報告は極めてまれである。感染鶏には,発育の遅延,食欲の減退および沈うつ等がみられるが,特有の症状はない。肉眼病変は,主にそ嚢にみられ,粘膜の肥厚,偽膜形成および潰瘍から成り,病理組織学的に,そ嚢粘膜の角化亢進および偽好酸球浸潤が観察される。本症は,粘膜の角化亢進を伴うそ嚢炎が観察され,IHCで病変部に存在する分芽胞子および仮性菌糸に一致してC. albicans抗原が検出されたため,カンジダ症と診断された。鶏痘ならびに鶏回虫寄生による一般状態の悪化がカンジダ症を誘発したと推察された。

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