15mの高所からの転落による脳脱を伴う開放性頭蓋骨陥没骨折の1救命例(Survivor of open skull fracture with cerebral prolapse after falling 15 meters: a case report)
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説明
<jats:title>要旨</jats:title><jats:p>症例は工場建設現場で約15mの高さにある建設現場の足場から転落した42歳の男性。医療スタッフ接触時,意識レベルはJCS 10–Rであり,前頭部に頭皮裂傷と背部に活動性出血を伴う広範囲な切創を認めた。創処置を行い,ショック状態であったため急速補液を行いつつ,ドクターヘリで当院搬送となった。当院到着後,胸部CTで皮下気腫,胸骨骨折,気胸,肺挫傷を認め,胸腔ドレーンを挿入し,止血目的に皮膚縫合を行った。頭部CTで両側前頭部に開放性頭蓋骨陥没骨折,左後頭部に脳挫傷,外傷性くも膜下出血を認めた。体幹部CTで多発肋骨骨折,肩甲骨骨折,腰椎横突起骨折を認めた。ISSは48点であった。呼吸循環動態が安定したため,頭部外傷に対して,全身麻酔下に硬膜形成術,骨片除去を行った。術後経過は良好で,術後第20病日にJCS 2の状態でリハビリテーション目的に転院した。本症例では,転落した高さ,高いISS,開放性頭蓋骨陥没骨折合併の所見から,死亡率が極めて高い症例であった。救命し得た理由として,転落途中で左背面部が骨組みに衝突しつつ落下したため,落下速度が減速した可能性が考えられた。発症早期に呼吸循環動態を安定させ,迅速に頭部外傷に対する治療を行ったことも救命できた一因と考えられる。</jats:p>
収録刊行物
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- Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine
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Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine 29 734-740, 2018-11-01
Wiley