ラコサミドとレベチラセタムの急性中毒に対する活性炭投与の効果を血中消失率(elimination rate)から考察した1例(Effectiveness of activated charcoal therapy in a case with acute lacosamide and levetiracetam toxicities based on drug elimination rates)
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説明
<jats:title>要旨</jats:title><jats:p> LCMとLEVの急性中毒に対し,活性炭投与を含む診療が奏功した症例を経験した。症例はてんかん加療中の66歳女性。LCM 4,600mgとLEV 31,000mgを服用し,9時間後に当院高度救命救急センターへ搬入された。中毒症状として,深昏睡,痙攣,呼吸抑制,代謝性アシドーシス,QTc延長を認めた。気管挿管後,搬入1時間後よりイレウス管から活性炭投与を開始した。搬入時に加えて1,2,6,12,24,48,72時間後に血中濃度を測定し,徐々に低下していることを確認した。搬入10時間で従命可能となり,搬入62時間で人工呼吸器を離脱,第6病日に集中治療室を退室した。LCMとLEVの中毒症状としては中枢神経障害の他,LCMは心毒性から死亡例の報告もある。中毒診療においては,薬毒物の血中濃度をいかに早く中毒域以下にできるかが重要である。今回,活性炭投与を含む中毒診療が血中濃度の低下にどれほど寄与したかを類推するため,単位時間あたりの血中濃度の消失率[elimination rate(%/hr)]という概念を使用した。結果,服用9時間後の搬入であったにも関わらず,搬入から活性炭投与開始までの1時間に比べ,活性炭投与開始後の1時間におけるelimination rateは,LCMは3.2倍,LEVは7倍と高く,活性炭の効果を裏づける結果であった。</jats:p>
収録刊行物
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- Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine
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Nihon Kyukyu Igakukai Zasshi: Journal of Japanese Association for Acute Medicine 32 586-590, 2021-11-01
Wiley