韓国の古典美学史研究 : 風流の思想の展開

目次

序論

第一章 韓国美学思想の源流

第一節 神話に現れた美意識

1.｢神市の朝｣の美的情感

2.光の比喩と色の象徴

3.調和の原理と卵形の美

4.徳の象徴としての美

第二節 祭儀に現れた美意識

1.原始風流としての｢祭天の儀礼｣

2.藝術の起源

3.シャーマニズムの美意識

第二章 古代の美学思想

第一節 新羅花郎と風流道

1.善美なる花郎の人間像

2.美的人間形成の理念

3.｢風流道｣と三教の思想

4.美意識としての風流

第二節 元暁lの和諍思想と無碍の風流

1.｢和諍｣の論理

2.｢離言｣真如と｢依言｣真如

3.妙法蓮花の美

4.｢無碍｣の風流

第三章 高麗時代の美学思想

第一節 禅林の悟りの修辞学

1.隠遁と結社

2.奇抜と破格

3.無心の境

第二節 李奎報の文藝論における創造的個性

1.｢意･気｣の文藝論

2.語意の創造

3.｢清新俊逸｣の美

第四章 朝鮮前期の美学思想

第一節 徐居正の華国の文藝論

1.｢風教｣としての効用

2.外交のための｢詞章｣

3.｢富麗豪放｣の品格

4.｢貫道｣と｢滑稽｣の二元性

第二節 成俔の中和の音楽論

1.｢中和の美｣と礼楽思想

2.音楽の役割

3.｢元気｣と個性の表出

4.多様な風格の美

第五章 朝鮮中期の美学思想

第一節 李滉の美的人間学

1.山水翫賞の風流

2.美的感動と｢敬工夫｣

3.性情の醇化と｢温柔敦厚｣の品格

4.人格美の理想

第二節 李珥の善鳴の藝術哲学

1.｢善鳴｣としての文藝

2.｢道･文｣の一体

3.｢沖澹蕭散｣の藝術美

4.｢おのずから｣の美意識

第六章 朝鮮後期の美学思想

第一節 洪大容の大同の藝術思想

1.虚学から実学へ

2.｢天機･自然｣の発露

3.琴の風流と｢大同｣の精神

第二節 朴趾源の法古創新の創作論

1.｢真の趣｣の藝術

2.｢玩賞｣による事物認識

3.戦略としての｢善変｣

第三節 丁若鏞の匡済一世の理念

1.｢志･道｣の発現

2.社会的実践としての志･道

3.｢匡済一世｣論

4.文体の淳正策

5.自主的｢朝鮮詩｣論

第四節 金正喜の文人藝術の精神

1.｢溯源｣の藝術学

2.｢方勁古拙｣の美

3.藝術と人格

4.創造の動因としての｢天機｣と｢性霊｣

5.藝術精神の根源としての禅

結語

注

図版

文献表