木星型惑星大気の雲対流構造~放射冷却率と凝結性成分存在度に対する依存性
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17K05656
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 17K05656
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 理工系 > 数物系科学 > 地球惑星科学 > 気象・海洋物理・陸水学
- 研究機関
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- 松江工業高等専門学校
- 研究期間 (年度)
- 2017-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,290,000 円 (直接経費: 3,300,000 円 間接経費: 990,000 円)
研究概要
木星型惑星大気の雲対流の数値シミュレーションを行った.得られた顕著な特徴は,熱力学的な考察から対流抑制が予想されてきたパラメタ範囲においても,強い雲対流が準周期的に生じることであった.このような強い雲対流活動は地球大気における「スコールライン」のように組織化されていた.上層雲からの雨の蒸発によって駆動された下降流は凝結・化学反応高度に形成される安定層で水平方向に向きを変え,強い寒気流出を形成する.寒気流出の前面では強い水平収束が生じ,気塊に働く負の浮力に打ち勝って新たな対流雲を引き起こしていた.この一連の雲の発達において静的に安定な凝結・化学反応高度は地球の地表面のような働きをする.
本研究の独創的な点は,1つの数値モデルの枠組みの中で,個々の雲の生成消滅の様相を調べるだけでなく,雲の生成消滅が繰り返された結果として決まる環境場としての流れ場および平均的な温度・成層・物質分布を一度に求めることにある.本研究のシミュレーション結果は力学的に保障されたものであり,従来の考察よりも現実的な雲対流構造を示すと考えられる.このような枠組みにおいて,木星型惑星の基本条件の1つである凝結性成分が多い条件下で発生する雲対流の定性的特徴を得たことは,今後の木星型惑星大気の理解の基礎となる.