オステオカルシンによるサルコペニア肥満回避機構の解明
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- 溝上 顕子
- 研究代表者
- 九州大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K09521
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18K09521
- 研究種目
- 基盤研究(C)
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分57010:常態系口腔科学関連
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,550,000 円 (直接経費: 3,500,000 円 間接経費: 1,050,000 円)
研究概要
骨基質タンパク質であるオステオカルシン (GluOC)は、全身の糖・エネルギー代謝を改善するだけでなく、筋肉量維持にも寄与する。骨格筋は脂肪細胞から動員された脂肪酸を取り込みエネルギー源とする。GluOCの脂肪分解への影響を検討するため、脂肪細胞特異的GPRC6A(GluOC受容体)欠損マウスを作製し、解析を行なった。GPRC6A欠損マウス由来脂肪組織では脂肪分解酵素群の発現が低下しており、脂肪分解が抑制されていた。そのため、エネルギー源としての脂肪酸の利用も低下していた。以上のことから、GluOCは脂肪の分解を促し、骨格筋のエネルギー源となる遊離脂肪酸の放出に寄与することが明らかになった。
サルコペニア肥満は、代謝異常と運動機能低下の悪循環によって、サルコペニアや肥満の単独事象よりも深刻な身体機能低下をもたらし、要介護・寝たきりのリスクが高まる。GluOCは、脂肪細胞におけるGPRC6Aシグナルを介して脂肪の分解を促進する。つまり、GluOCは食餌誘発性の肥満とそれに起因する代謝異常を抑制するのみならず、脂肪分解促進作用による遊離脂肪酸放出によって骨格筋にエネルギー源を供給し、骨格筋の機能向上にも寄与する。GluOCはサルコペニアと肥満の両方にアプローチすることでサルコペニア肥満の悪循環を断ち切る治療標的となり得る。