イタリア公立学校の多様性教育支援と複合的プロジェクト型パートナーシップの調査研究
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- 高橋 春菜
- 研究代表者
- 盛岡大学
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18K13092 (JGN)
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
科研費情報
- 研究課題/領域番号
- 18K13092
- 研究種目
- 若手研究
- 配分区分
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- 基金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分09020:教育社会学関連
- 研究機関
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- 盛岡大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 4,030,000 円 (直接経費: 3,100,000 円 間接経費: 930,000 円)
研究概要
イタリアの公教育は近年、従来のユニバーサリズムにもとづく多様性包摂の原理を踏まえつつも、英国等の枠組にならう「特別教育ニーズ」(BES)概念を導入(公教育省通達、2013年)、個別の対応を重視するパーティキュラリズムが前景化している。ただし制度上は特別教育ニーズの3区分に異なる対応が規定されるものの、実際の教育実践では一体的に取り扱う事例も浮上した。このことは、人格が関係性のなかで形成されるとの考え方が、共和国憲法をはじめ一連の教育関連法規に確認されてきたことと無縁でないように思われる。今後は背景を含め、昨今の欧州評議会等の国際組織の方針と、国内の方針及び教育現実との齟齬をも視野に検討したい。
イタリア国際会議や日本の議論では、公立学校のなかの多様性をすべての子どもの教育の機会とする見方と個別の支援とする見方の間で、あるべき折り合いが見出されたとは言い難い。また全体教育と個別の支援を無暗に混同したり、安易な択一に流れたりするとかえって問題を生じることも指摘されている。むろん各国では全体と個別の要請の間を折衷する「合理的配慮」も期待されるが、イタリアの障害児のインクルーシブ(インクルージョン)ないし文化間教育が、「配慮」という消極的アプローチを越えて全児童生徒の教育実践を展開してきたことは無視できない。図らずも歴史的に個別と全体との折衝に取り組んできたイタリアの事例は示唆に富む。