顎顔面領域の欠損は重篤かつ複雑であり、補綴装置の維持源としてインプラントが応用されている。しかし、顎顔面インプラントの成功率は低いのが現状である。 本研究では、口腔粘膜と皮膚を貫通するインプラント周囲の軟組織に着目した。ラットの口腔粘膜、皮膚を採取し、上皮および線維芽細胞をチタンプレート上で培養した。また、ラットの上顎第一臼歯抜去後、実験用インプラントを埋入した。結果、インプラント周囲の軟組織封鎖性は、上皮と結合組織で優位な表面性状が異なり、天然歯より劣ることが示された。よって、表面性状の改質や軟組織封鎖性の向上は、インプラント治療の成功に影響を与える可能性が示唆された。
本研究結果は顎顔面インプラント治療の安定した提供、つまり、成功率の向上に寄与すると考える。さらに、今後の顎顔面補綴臨床を歯科発信の技術で大きく変革し、歯科医学・医療の目標である健康・福祉の向上に大きく貢献すると思われる。