HDAC7 (Histone deacetylase 7)は、ヒストンの脱アセチル化を介してさまざまな遺伝子発現を制御しているのみならず、非ヒストン蛋白の脱アセチル化や、核内で転写因子として作用する分子である。我々は、これまでの研究で膠芽腫の悪性性質獲得にHDAC7の発現が関与していることを見出した。ミトコンドリアは、細胞のエネルギー源であるATPを産生するのみならず、増殖、細胞死、代謝適応を含めた多様な生物学的過程を調節するシグナルを伝達する細胞内小器官である。本研究では、ミトコンドリアの機能制御という観点に着目して、HDAC7が膠芽腫の悪性性質獲得に果たす役割を解明する。