本研究の目的は,好中球などの成熟顆粒球にみられる分葉した核形態がどのようにして生じるのかを明らかにすることである.真核細胞の核は典型的には球状や楕円球状とされている.しかし,自然免疫を担う顆粒球の核は分化・成熟に伴い球状,桿状を経て分葉した構造に変化する.この形態変化のメカニズムは明らかになっていない.本研究では,核膜と内部構造の動態を粗視化して数理モデル化を行うことで細胞レベルの形態形成機構を予測する.加えて,生物学的実験による検証を組み合わせることで,この特異な核形態形成機構の原理を解明することを目指す.