液性自然免疫因子である補体系の生理作用には、補体の活性化の適切な制御が重要であることが明らかになりつつある。申請者らは近年、コイ血清から精製した補体活性化制御能を有するタンパク質が、フィブリノーゲンの分解産物であることを発見した。本研究はコイをモデルとして、フィブリノーゲンから生じる多様な分解産物による、補体系の活性化制御機構をタンパク質レベルで解明することを目的とする。本研究によって、血液凝固・線溶系と補体系を結ぶ新たな機能的連携が明らかになれば、魚類の自然免疫応答の最適化を通して、炎症反応による組織障害の軽減や、より有効な魚病ワクチン・免疫賦活剤の開発に貢献できる。