中国における才子佳人小説の出版と朝鮮・越南・日本への影響

研究課題情報

体系的番号
JP13021252
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)
研究課題/領域番号
13021252
研究種目
特定領域研究
配分区分
  • 補助金
審査区分/研究分野
  • 人文・社会系
研究機関
  • 高岡短期大学
研究期間 (年度)
2001 〜 2004
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
8,100,000 円 (直接経費: 8,100,000 円)

研究概要

本年度は、『二度梅』『好逑伝』の中国における出版の状況、及び、この作品の朝鮮半島、越南、日本における受容の相違を中心に考察した。その結果、朝鮮半島、越南、日本の国々は同じ漢字文化圏に属し、ともに中国の文化に撞憬を抱き、新たな作品を求め受容していったにもかかわらず、その受容には大きな相違が存在したことを指摘する。 すなわち、朝鮮半島では、名教を重んずる厳格な小説『好逑伝』が受容され、ハングル訳も生み出された。反して、『二度梅』のような「男の操」を説く小説が読まれたなどの記載は存在しない。儒教倫理と相容れないものであるからであると思われる。 日本においては、馬琴に見るように、新たな作品を創作するために新奇性を求めようとして中国の小説が好まれた。『二度梅』にみる「男の操」、『好逑伝』に色濃い「義侠」のテーマが、新奇性があるものとして、日本の作品に取り入れられていった。また、江戸後期には平手順益の例に見るように、好事家たちは中国才子佳人小説を自由に収集していた。 一方、越南では、中国南方の木魚書などの口承演芸の流行に影響されながらも、人々の生活に根ざし、その辛苦や流浪の悲しみを浄化する作品を求めていった。越南の歴史にもあったに違いない流浪の女性の悲しみへの共鳴、そしてそれを断固として拒み、自害して果てる様への共感が一つの読者層を形成したと思われる。このような受容の相違は、ただ才子佳人小説受容の相違のみならず、アジアにおける出版交流の一特徴、及びアジア各地域の文学観の相違をも浮き彫りにしている。

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