近世から近代に至る日本の化学用語の起源と定着過程の総合的研究

研究課題情報

体系的番号
JP15500661
助成事業
科学研究費助成事業
資金配分機関情報
日本学術振興会(JSPS)
研究課題/領域番号
15500661
研究種目
基盤研究(C)
配分区分
  • 補助金
審査区分/研究分野
  • 総合・新領域系 > 総合領域 > 科学社会学・科学技術史 > 科学社会学・科学技術史
研究機関
  • 東洋大学
研究期間 (年度)
2003 〜 2004
研究課題ステータス
完了
配分額*注記
2,900,000 円 (直接経費: 2,900,000 円)

研究概要

1.蘭書が渡来して「Chemistry」にあたるオランダ語"Chemie, Scheikunde"を、はじめに訳した語は「煉丹術・銷錬術」(『波留麻和解』1796)、「製煉術」(宇田川玄随1798)、「錬金術」(『訳鍵』1810)、「分離術」(『和蘭字彙』)、「鎔分術」(橋本宗吉)、「分析術」等。 2.宇田川榕菴『舎密開宗』(1837)の参考書『紐氏韻府』というのは、ニューウェンホイスの『学芸技術百科事典』、すなわち、Gt.Nieuwenhuis, Algemeen Woordenboek van Kunsten en Wetenschappen全8巻8冊(1820-29)であることを、明らかにした。 3.H.Davyがボルタ電堆で電解して1807年にアルカリ金属を単離したことが、『ニューウェンホイス百科事典』中にあり、これを榕菴が『開宗』にはじめて紹介した。 4.榕菴が電極の正負を誤解していると、従来日本では考えられていたが、その誤解を解き榕菴がボルタ電堆の電極「積極」「消極」を正しく導入していたことを、明らかにした。 5.『舎密開宗』以前、日本にはじめて薬化学を紹介した宇田川玄随『製煉術』(稿本1785-8)と原本を比較検討し、「製煉術」、「蒸餾」など、初出の玄随の化学用語をまとめた。 6.橋本宗吉『蘭科内外三法方典』(1805)とそのオランダ語原本(1749)とを対比し、訳語を検討した結果、宗吉は"Scheikonst, Scheikust"を「製薬」及び「鎔鑠」と訳し、最後は「鎔分術」と訳した。また、「濾過」「沸騰」「凝固」「乾燥」などはすでに常用していた。 7.榕菴は、「元素」を造語するとき、中国の明代の辞書『正字通』の「素」の項目を参照し、「Atoom」の学習にはニューウェンホイスの百科事典の「Atoom」の項目を写していた。 8.竹原平次郎・桂川甫策・石橋八郎・加藤宗甫訳『化学入門』(1867-73)の原本の一つはC.R.Fresenius ; Leerboek der Scheikunde, door F.A.Enklaar(1852)であることを明示した。

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