言語系統樹を用いた琉球語の比較・歴史言語学的研究
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17H06115
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 17H06115
- 研究種目
- 基盤研究(S)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 人文社会系 > 人文学 > 言語学 > 日本語学
- 研究機関
-
- 琉球大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-05-31 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 176,280,000 円 (直接経費: 135,600,000 円 間接経費: 40,680,000 円)
研究概要
琉球諸語と九州方言の系統関係の解明を目指して集団遺伝学を取り入れた言語研究を進めた。琉球諸語と九州方言の資料を集団遺伝学の手法で数列化して系統ネットワーク図やADMIXTUREを描き、その結果を地図上にプロットした言語地図を加えて検証し琉球諸語の系統研究に集団遺伝学が有効であることを確認した。南琉球語の中の宮古語と八重山語が従来説よりも近い関係にあり、逆に与那国語がこの2者から離れていることを明らかにした。動詞のアスペクト・テンス体系と、稲作に関わる等の基礎語彙について北琉球語と南琉球語と九州方言を比較し、琉球諸語の南北差が九州からの人の移動の波が2回あったことによるという仮説を導き出した。
比較言語学も言語地理学も少数の単語を使って言語史を解明する。そこには単語の選択に恣意性が働く懸念が付きまとう。比較言語学は2地点間の関係を明らかにするだけである。集団遺伝学は対象地点数にも使用する単語数にも制限が無い。系統ネットワーク図は分岐だけでなく地点間の距離や言語接触の様も可視化できる。GISデータを組み込めば系統ネットワーク図等から言語地図を描ける。集団遺伝学的研究の確立は琉球諸語と日本語方言の研究に大きな革新をもたらす。