長寿命樹木にみられる幹細胞ゲノムの多様性分析
研究課題情報
- 体系的番号
- JP17H06478
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 17H06478
- 研究種目
- 新学術領域研究(研究領域提案型)
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 生物系
- 研究機関
-
- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2017-06-30 〜 2022-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 72,670,000 円 (直接経費: 55,900,000 円 間接経費: 16,770,000 円)
研究概要
赤道直下に生息する樹齢400年を超える熱帯産樹木Shorea laevisから高品質ゲノムを作成し、1600年代に生じた芽生えから400年かけて蓄積した体細胞変異の検出によって、次世代集団が受ける自然選択や遺伝的浮動の前に生じた突然変異の速度を正確に推定することに成功した。また、樹木はポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)のコピー数を多年草や一年草よりも多く持ち、樹木がDNA損傷や病原体の感染から長期間身を守り、生存を維持するのに貢献していることが示唆された。本研究の成果は、植物のDNA修復と寿命の進化の理解への足掛かりとなるものと期待される。
一般に動物では、生殖細胞と体細胞は発生の初期に分離されるため、体細胞に生じた変異は次世代へ受け継がれず、個体の死とともに集団から消失する。これに対して植物では、体細胞の中でも多能性を永続的に維持する幹細胞に生じた変異は、花粉や胚珠を形作り次世代へ受け継がれる。そのため私達は、体細胞で生じる突然変異は、森林生態系におけるゲノム多様性の創出に寄与する重要なプロセスであると考えている。今後は、本研究を発展させ、集団レベルのゲノム多様性の創出機構の解明に取り組む。