貝殻らせん成長メカニズムの解明:進化発生古生物学創成に向けて
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H01323
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18H01323
- 研究種目
- 基盤研究(B)
- 配分区分
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- 補助金
- 審査区分/研究分野
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- 小区分17050:地球生命科学関連
- 研究機関
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- 東京大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-01 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 17,160,000 円 (直接経費: 13,200,000 円 間接経費: 3,960,000 円)
研究概要
軟体動物の巻貝類において、CRISPR/Cas9によるゲノム編集を行うための基礎的技術を開発するとともに、貝殻のらせん成長を制御する遺伝的メカニズムに関する研究を行った。その結果、クサイロアオガイにおいてCRISPR/Cas9によるlophotrochin遺伝子のノックアウトに成功した。また、ヨーロッパモノアラガイの外套膜において左右で発現量に有意の違いがあり、貝殻の左右性に関与している可能性のある貝殻基質タンパク質遺伝子を複数同定した。さらに、ヨーロッパモノアラガイを含む淡水生巻貝において、シグナル伝達因子Wntが貝殻成長における貝殻の捩れの制御に関連した働きを持つことを明らかにした。
CRISPR/Cas9によるゲノム編集は、胚への遺伝子導入が一般に困難な軟体動物ではまだ研究例が少なく、その基礎的方法論を確立した学術的意義は大きい。今後貝殻形成だけでなく、軟体動物のさまざまな遺伝子産物の機能解析に応用が可能であり、水産有用種の多い軟体動物においては、その社会的意義も大きい。軟体動物の貝殻形成メカニズムについては、まだ数多くの謎が残されている。本研究により、それらの遺伝的側面を解明する重要な手がかりが得られた。今後それらの手がかりを辿って深掘りすることで、貝殻の成長と進化に関する理解が進むだけでなく、進化発生の遺伝的基盤と化石とを融合した新たな分野の開拓が進むだろう。