多階層オミックスによる卵子の発生能制御分子ネットワークの解明
研究課題情報
- 体系的番号
- JP18H05214
- 助成事業
- 科学研究費助成事業
- 資金配分機関情報
- 日本学術振興会(JSPS)
- 研究課題/領域番号
- 18H05214
- 研究種目
- 特別推進研究
- 配分区分
-
- 補助金
- 審査区分/研究分野
-
- 生物系
- 研究機関
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- 九州大学
- 研究期間 (年度)
- 2018-04-23 〜 2023-03-31
- 研究課題ステータス
- 完了
- 配分額*注記
- 508,560,000 円 (直接経費: 391,200,000 円 間接経費: 117,360,000 円)
研究概要
マウス卵子をモデルとして、ゲノム編集と微量オミックス解析技術を駆使し、哺乳類の個体発生を司るヒストン修飾とDNAメチル化の分子ネットワークの全体像を明らかにした。その際、過去の知見を覆し、各々のヒストン修飾がDNAメチル化の効率や分布に及ぼす新たな生物学的作用を明らかにし、その作用を媒介するタンパク質やその機能ドメインを同定した。また、卵子のヒストン修飾やエピゲノム制御因子が染色体分配などの細胞機能に影響を及ぼす一方、DNAメチル化はほぼ母性インプリント遺伝子に限定した効果を持つことを示した。さらに卵子のDNAメチル化が受精を経て次世代へ伝達される可能性を予測する数理モデルを構築した。
我々が明らかにしたマウス卵子におけるヒストン修飾とDNAメチル化の分子ネットワークは、不妊・流産・先天異常の原因解明、及び生殖補助医療技術の改善に資すると考えられ、ヒト人工多能性幹細胞から誘導された卵細胞のエピゲノムデータは、この細胞の学術的・臨床的応用に向けて貴重な情報リソースである。また、我々が開発した数理モデルは、子宮内環境や種々の環境ストレスにより生じたエピゲノム異常の次世代への伝達の予測に役立つほか、その機構の解明に貢献すると期待される。