食品成分を投与したのちにマウスを1時間遊泳させ疲労を負荷し、その時の疲労の度合いを評価するモデル(疲労感軽減効果評価モデル)と、強制遊泳により疲労困憊させた直後のマウスに食品成分を投与し、その後の疲労の度合いを経時的に評価するモデル(疲労回復効果評価モデル)の2つのモデルを用いて、未だ不明であるクエン酸の疲労軽減効果とそのメカニズムを明らかにすることを試みた。 上記2モデルにてクエン酸の効果を検証した結果、クエン酸には疲労軽減効果が認められたものの、疲労回復効果は認められなかった。また、クエン酸の疲労軽減効果にGADD34は関与していないことが示された。
これまで、食品成分の疲労軽減効果はアンケート調査などの主観的な評価や一部の代謝物の変化によってのみ報告されてきた。また、疲労軽減効果自体も「疲れにくくなる効果」なのか、「疲れから回復しやすくなる効果」なのかが区別されてこなかった。本研究では、食品成分の疲労軽減効果を「疲れにくくなる効果」と「疲れから回復しやすくなる効果」を客観的に評価する系を確立した。これにより、今後、さまざまな食品成分の疲労軽減効果を客観的に評価することが可能となった。さらに、疲労軽減効果のある食品成分を、疲労負荷の前に摂取した方が良いのか、後に摂取した方が良いのか、についても検討できる手段を得た。