頭頸部癌26症例をSCC panelで変異解析を行い、同定された腫瘍特異的変異遺伝子をctDNA候補遺伝子と定義し、digital PCRを用いてctDNAモニタリングを行った。最も多く認められた変異はTP53であり、変異遺伝子を同定できなかった2例を除いた24例中15例(62.5%)で認められた。6例はdigital PCRが施行できず。継続的にctDNAモニタリングを施行可能であった残りの18例について解析を行った。7例は初回治療後ctDNAが陽性となり、7例全例再発もしくは腫瘍の残存を認めた。初回治療後ctDNAが陰性を維持している11例に比べて、陽性例は有意に予後不良であった。
頭頸部癌には既存の腫瘍マーカーの測定についても有用性が確立されておらず、新規のバイオマーカーの同定が期待されている。ctDNAはバイオマーカーとしての利用が期待されているが、頭頸部癌は変異スペクトラムが広く、特定の単一ctDNAをバイオマーカーとして使用することはできない。本手法によるctDNAモニタリングは頭頸部癌の臨床経過を鋭敏で反映していることがわかった。また、治療後に検出されるctDNAは再発や予後に寄与していることも判明した。今後、変異遺伝子のprimer-probeのライブラリの作成をすすめることでより簡易に安価でctDNAを臨床的バイオマーカーとして利用できる可能性がある。