八重咲き形質は花きの観賞価値を高める園芸生産上極めて重要な花器形質のひとつである.シクラメンでも萼が弁化するタイプの八重咲きシクラメンがあり,園芸的に高く評価されているが,萼弁化と着色が「安定な完全八重の系統」および「不安定な不完全八重の系統」が存在し,系統間だけでなく個体間にも変異が認められることが課題となっている. 本研究ではこれらの多様な八重咲き形質の変異に着目し,八重咲き形質の遺伝的制御機構,および環境応答性の花器形態形成と色素生合成の後天的な制御機構を明らかにすることで,遺伝的に安定して八重咲き花を形成する園芸品種の作出法確立への寄与を目指す.