金融オプション理論から発展してきたリアルオプションは、不確実性下における戦略的意思決定に柔軟性を持たせるアプローチとして有益な示唆を与える。一方で、製品開発や工場建設といった実資産への投資では、オプション価値の算出に必要なデータが必ずしも利用可能ではなく、実践への応用にはなお多くの課題が存在する。本研究の究極の狙いは、リアルオプションの理論と実践との間にあるギャップを埋めることにある。具体的には、本研究の目的として(1)オプション構造を現実の技術開発戦略に構築するための方法と条件、(2)組織がオプションの評価および行使を適切に行うための過程と条件、を明らかにすることにある。